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中小企業庁担当者に聞く | 令和8年度 新事業進出・ものづくり商業サービス補助金

最終更新日:2026年9月18日

中小企業庁担当者に聞く!新事業進出・ものづくり商業サービス補助金 成長投資で稼ぐ力を高めて、持続的な賃上げへ

このページでわかること

  • 「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金」の目的
  • 「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の特色
  • 付加価値向上や賃上げなどの基本要件
  • 審査で重視されるポイントと申請時の注意点

2026年度から、新たに「新事業進出・ものづくり商業サービス補助金(新事業進出・ものづくり補助金)」がスタートしました。
本補助金は、これまでの「ものづくり補助金」と「新事業進出補助金」を一体的に運用し、中小企業等による革新的な新製品・新サービスの開発、新市場への進出、海外市場開拓に向けた取組などを支援するものです。

企業規模の拡大や付加価値の向上につながる成長投資を促し、稼ぐ力を高め、その成果を持続的な賃上げにつなげていくことを目的としています。

今回、中小企業庁の担当者に、補助金の狙いや3つの申請枠の違い、基本要件、審査や申請にあたって押さえておきたいポイントについてお話をうかがいました。

もくじ

企業の成長戦略にあわせた、3つの申請枠

新事業進出・ものづくり補助金を理解するうえで、一つのキーワードとなるのが「成長投資」です。

新たな製品・サービスを開発する、新しい市場へ進出する、海外市場を開拓するといった取組を通じて、企業の規模拡大や付加価値向上につながる投資を後押しします。
こうした企業の成長戦略にあわせて、本補助金には、「革新的新製品・サービス枠」「新事業進出枠」「グローバル枠」の3つの申請枠が設けられています。

それぞれ成長へのアプローチは異なりますが、付加価値額の向上につながる成長投資を通じて生産性を高め、持続的な賃上げを実現するという目的は共通しています。
なお、申請にあたっては、必ず最新の公募要領等をご確認ください。

新しい製品・サービスの開発を支援する「革新的新製品・サービス枠」

「革新的新製品・サービス枠」は、これまでのものづくり補助金の考え方を引き継ぎ、自社の技術やノウハウなどを活かした新しい製品・サービスの開発を支援する枠です。

古い設備を新しくするだけの設備更新は補助対象となりません。申請にあたっては、設備投資等を通じて何を開発し、顧客にどのような新しい価値を提供するのかを明確にすることが求められます。

補助対象経費には、機械装置・システム構築費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費があります。

従業員数 補助率 補助下限額 基本補助上限額 賃上げ特例適用時
1~5人 中小企業者:
1/2(2/3)
小規模・再生事業者等:2/3
100万円 750万円 850万円
6~20人 1,000万円 1,250万円
21~50人 1,500万円 2,500万円
51人以上 2,500万円 3,500万円
  • 「賃上げ特例適用時」の補助上限額は、賃上げ特例の要件を満たし、適用を受ける事業者の場合となります。
  • 地域別最低賃金引上げ特例の適用による補助率の引上げを受ける事業者の場合、括弧内の補助率を適用。

新しい事業・市場への進出を支援する「新事業進出枠」

「新事業進出枠」は、これまでの新事業進出補助金の考え方を引き継ぎ、既存事業とは異なる新しい事業・市場への進出を支援する枠です。

革新的新製品・サービス枠との大きな違いは、自社にとって新しい製品・サービスであることに加え、新しい市場への進出を伴うことです。

補助上限額は革新的新製品・サービス枠よりも高く設定されており、より規模の大きな成長投資にも活用できます。

また、補助対象経費には、機械装置・システム構築費等に加えて、専ら補助事業のために使用する「建物費」が含まれることも特徴です。

従業員数 補助率 補助下限額 基本補助上限額 賃上げ特例適用時
1~20人 中小企業者:
1/2(2/3)
750万円 2,500万円 3,000万円
21~50人 4,000万円 5,000万円
51~100人 5,500万円 7,000万円
101人以上 7,000万円 9,000万円
  • 「賃上げ特例適用時」の補助上限額は、賃上げ特例の要件を満たし、適用を受ける事業者の場合となります。
  • 地域別最低賃金引上げ特例の適用による補助率の引上げを受ける事業者の場合、括弧内の補助率を適用。

国内の輸出体制強化を支援する「グローバル枠」

「グローバル枠」は、海外市場開拓に向けた国内の輸出体制強化を支援する枠です。ものづくり補助金のグローバル枠を引き継いでいますが、従来は対象だった海外への直接投資は対象外となるなど、国内投資を通じて輸出力を高める取組に特化しています。

補助上限額は新事業進出枠と同水準で、大規模な成長投資にも対応しています。

また、新事業進出枠と同じく補助対象経費には「建物費」が含まれます。例えば、輸出向け製品の生産施設や、海外の品質基準に対応するための検査施設などへの投資も可能です。ただし、建物は専ら補助事業に使用するものに限ります。

さらに、海外旅費や通訳・翻訳費も補助対象となるなど、海外市場開拓に必要な取組を幅広く支援します。

従業員数 補助率 補助下限額 基本補助上限額 賃上げ特例適用時
1~20人 中小企業者:
2/3
750万円 2,500万円 3,000万円
21~50人 4,000万円 5,000万円
51~100人 5,500万円 7,000万円
101人以上 7,000万円 9,000万円
  • 「賃上げ特例適用時」の補助上限額は、賃上げ特例の要件を満たし、適用を受ける事業者の場合となります。
中小企業庁担当者
中小企業庁担当者から一言

3つの枠は、それぞれ目指す成長の方法、成長戦略が異なります。「どの枠が有利か」ではなく、自社が取り組もうとしている事業が、どの枠の目的や要件に合っているか確認の上申請してください。

生産性向上・賃上げを目的とした基本要件

新事業進出・ものづくり補助金の目的は、企業の生産性向上につながる成長投資を通じて「稼ぐ力」を高め、それを持続的な賃上げにつなげることです。そのため、申請にあたっては、付加価値額や賃上げなどの基本要件を満たす必要があります。

主な要件 内容
付加価値額要件 付加価値額の年平均成長率4.0%以上増加する見込みの事業計画を策定し、これを達成すること
賃上げ要件 一人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上増加する見込みの事業計画を策定し、これを達成すること
事業場内最低賃金水準要件 地域別最低賃金より30円以上高い水準とすること
ワークライフバランス要件 一般事業主行動計画を策定・公表すること
子育て等に関する職場環境整備に向けた取組要件 子育て等に関する職場環境整備に取り組むこと
金融機関要件 金融機関から資金提供を受ける場合、事業計画の確認を受けること

付加価値を高め、持続的な賃上げへ

付加価値額については、事業計画期間(3~5年)において、年平均成長率4.0%以上を達成することが求められます。

賃上げについては、同じく事業計画期間(3~5年)で、1人当たり給与支給総額の年平均成長率3.5%以上を達成するとともに、毎年、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より30円以上高い水準とする必要があります。

賃上げ要件や事業場内最低賃金水準要件については、未達の場合に補助金の返還義務が生じるため、無理のない事業計画を立てることが重要です。

また、本補助金では、補助事業終了後の賃上げだけでなく、応募申請時の直近の事業年度から基準年度までの期間に行う「足下の賃上げ」についても審査で評価します。将来の目標だけでなく、事業の成長と賃上げを早い段階から並行して進めていく姿勢が重視されています。

コラム

より高い賃上げに挑戦する「賃上げ特例」

賃上げ特例は、通常の賃上げ要件よりも高い水準の賃上げに取り組む事業者について、補助上限額を引き上げる制度です。

項目 通常の賃上げ要件 賃上げ特例要件
1人当たり給与支給総額 年平均成長率3.5%以上 年平均成長率6.0%以上
事業場内最低賃金 地域別最低賃金+30円以上 地域別最低賃金+50円以上

賃上げ特例を活用することで補助上限額が引き上げられる一方、要件を達成できなかった場合には、特例によって増額された補助金の引上げ分について返還が必要となる場合があります。

そのため、補助上限額を増やすことだけを目的に無理な目標を設定するのではなく、事業の成長や収益力を踏まえて、継続して実現できる賃上げ計画を立てることが必要です。

このほか、最低賃金の引上げの影響を受ける事業者を対象として「地域別最低賃金引上げ特例」が設けられています。「革新的新製品・サービス枠」の中小企業者や「新事業進出枠」では、所定の要件を満たす場合、通常1/2の補助率が2/3に引き上げられます。

「賃上げ特例」が賃上げに積極的な事業者の補助上限額を引き上げる制度であるのに対し、「地域別最低賃金引上げ特例」は賃上げの影響が大きい事業者の補助率を引き上げる制度です。

中小企業庁担当者
中小企業庁担当者から一言

企業の成長と「稼ぐ力」の強化に向けては、人材の確保だけでなく、継続して能力を発揮できる環境を整備することが重要です。本補助金も活用いただきながら、賃上げや職場環境の改善を進め、人材の定着や付加価値向上につなげていただくことを期待しています。

新事業進出・ものづくり補助金の申請にあたって

新事業進出・ものづくり補助金の申請にあたって押さえておきたいポイントについて、ご説明します。

「経営戦略との整合性」と「実現可能性」を重視

新事業進出・ものづくり補助金での審査では、「経営戦略との整合性」と「実現可能性」が重視されます。

申請にあたっては、補助金を獲得するためだけの事業計画を作るのではなく、「会社が将来どこを目指しているのか」「その実現のために、なぜこの事業が必要なのか」という自社の経営戦略とのつながりを示すことが重要です。具体的には、経営ビジョン → 経営戦略 → 経営課題 → 補助事業 → 将来の成長という一貫した流れで、補助事業の位置づけを整理することがポイントとなります。

もう一つのポイントが、「本当に実現できる事業計画か」という実現可能性です。

必要な人材や実施体制が整っているか、顧客やターゲット、市場ニーズを把握しているか、投資に必要な資金を確保できるか、事業を遂行できる財務体力があるか、さらに将来の売上・利益・賃上げ計画に無理がないかなど、さまざまな観点から審査されます。

必要に応じて経営者自身による「口頭審査」を実施

一定の審査基準を満たした事業者の中から、必要に応じてオンラインによる口頭審査が行われます。

口頭審査では、原則として経営者(申請者)が自ら事業内容を説明します。経営者自身が「なぜこの事業に取り組むのか」「どのように実現するのか」を説明できるよう、事業計画を十分に理解しておくことが求められます。

補助金申請にあたってのポイント

申請にあたっては、最新の公募要領で、自社の取組が3つの申請枠のどれに該当するのか、また、その枠の要件を満たしているかを確認してください。

「革新的新製品・サービス枠」であれば、単なる設備更新ではなく新製品・新サービスの開発につながっているか。

「新事業進出枠」であれば、自社にとって新しい製品・サービスだけでなく、新しい市場への進出となっているか。

「グローバル枠」であれば、海外市場開拓に向けた国内の輸出体制強化になっているか。それぞれの目的を踏まえて検討しましょう。

そして何より大切なのは、「補助金があるから事業を考える」のではなく、「実現したい経営戦略があり、そのために必要な成長投資の手段として補助金を活用する」という考え方です。

成長投資によって付加価値を高め、「稼ぐ力」を強化し、持続的な賃上げを実現していくために、ぜひ新事業進出・ものづくり補助金の活用をご検討ください。

中小企業庁担当者
中小企業庁担当者から一言

補助事業だけを切り離して考えるのではなく、自社の経営戦略の中で「なぜこの事業を行う必要があるのか」を考え、経営戦略を実現する手段として、ぜひ新事業進出・ものづくり補助金をご活用ください。

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