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二度の水害、新型コロナなど、様々な苦難を伴走支援で乗り越える【支援機関とともに 商工会編】

補助金虎の巻
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「認定支援機関(経営革新等支援機関)」とは、国が経営の専門知識のある個人や団体を認定する制度であり、商工会・商工会議所、金融機関、税理士・社会保険労務士・中小企業診断士などの専門家が認定支援機関として登録されています。

今回の「支援機関とともに」では、新型コロナウイルスの感染拡大、二度にわたる水害などの様々な苦難に直面した寿司店が、商工会のサポートを受けながら、乗り越えていった事例をご紹介します。

三太郎寿し
認定支援機関

武雄市商工会(佐賀県武雄市北方町志久1662)

支援企業 三太郎寿し
企業概要 飲食業
所在地 武雄市北方町志久1690
ホームページ https://r.goope.jp/mamadaisuki1209外部リンクはこちら

集中豪雨による被災、新型コロナの補助金申請を相談

三太郎寿しは、佐賀県武雄市北方町にある、個人経営の寿司店である。

平成9年、店主の吉永浩章氏は鮮魚店・寿司店での修業を経て、帰郷独立し、同店を開店した。

開店した当初の三太郎寿しは、いわゆる「飲み客」が中心の居酒屋的な寿司店だった。しかし吉永店主は「お酒ではなく料理のクォリティで勝負したい」との考えから、平成27年に落ち着いて食事が楽しめる和モダンスタイルの店舗にリニューアル。鮮魚店の経験を活かした港直送の新鮮なネタと卓越した調理技術を強みに、男性客だけでなく女性客・ファミリー客にも客層を拡げてきた。

順調に固定客を増やしていくなかで、令和元年8月、九州北部で発生した集中豪雨(激甚災害)により同店は大きな被害を受ける。店舗の床上70cmまで水に浸かり、冷蔵庫も什器も家具も、車両も水没しまったのである。

吉永店主

「この時、武雄市商工会に水害の補助金等の相談をしました。親身になって相談に乗ってもらい、とても助かりました(吉永店主)」

水害の相談をきっかけにして、商工会に入会。経営相談に乗ってもらい、アドバイスを受けながら、水害からの復旧をすすめていった。

営業を再開してようやく経営が軌道に乗り始めた頃、新たな試練が同店を襲う。令和2年初頭からの新型コロナウイルスの感染拡大である。武雄市でも緊急事態宣言が発令され、売上は激減した。その頃、武雄市商工会に赴任してきたのが、野田友和経営相談員である。

野田指導員

「新型コロナの影響で市内の飲食店は軒並み大打撃を受けていました。三太郎寿しも例外ではありません(野田指導員)」

その当時は、地域の事業者から新型コロナに関する補助金、助成金、融資などの相談に忙殺される毎日だったと、野田指導員は振り返る。

現在の店内

▲現在の店内

水害時の店内

▲水害時の店内

個室の整備とコース料理の開発で、コロナ禍の売上増を図る

新型コロナウイルスの感染拡大により、売上が前年比の半分以下まで落ち込むなかで、吉永店主は、コロナ禍の経営について野田指導員に相談。そのなかで、売上拡大のアイデアとして出てきたのが、「個室」だった。使われていない旧店舗のスペースを改装して、座敷席の個室(離れ)を整備。個室をつくることで客同士の接触を防ぎ、コロナ禍でも安心して食事が楽しめるようにするというものだ。

吉永店主

「個室の整備は、新型コロナウイルス対策だけではなく、当店がめざす店の姿とも合致していました(吉永店長)」

平成27年のリニューアルをきっかけに、女性や若者の来店が増えた。しかし、カウンター席・テーブル席は、小さな子どもがいる家族客や宴会客は利用しづらい。個室の座敷席なら、家族や友人同士でも気兼ねなく料理を楽しむことができる。

そして、個室で提供する料理は「完全予約制コース料理」とした。いま寿し業界は、低価格を強みにする回転寿し・テイクアウトのような業態と、接待などで利用される高級寿し店に二極化していると言う。同店がめざすのは、その中間の価格帯の、いつもよりちょっと良い食事である。そこで、家族の記念日やグループの親睦会、法事や宴会などのニーズに応えた、リーズナブルな価格のコース料理を提供することで、他店との差別化を図ることとした。

また完全予約制としたのは、食材の廃棄ロスを抑えるとともに、スタッフが限られるなかでオペレーションを効率化するためだ。

この個室の整備にあたっては、「持続化補助金(コロナ特別対応型)※」を活用。申請にあたっては、野田指導員の支援を受けながら事業計画を作成した。

※公募は終了しています

料理 盛り合わせ

料理 小鉢

店内

伴走支援により、二度目の被災を乗り越える

個室の完成も間近に迫った令和3年8月、西日本を中心とした記録的な大雨が発生し、佐賀県全域に深刻な被害をもたらした。武雄市の被害はとくに甚大であり、同店も床上1m10cmまで浸水。店舗・個室だけでなく、厨房機器、冷凍・冷蔵庫など、全てが水没してしまった。一昨年に続き、再びの被災である。

吉永店主

「新型コロナウイルスも落ち着いて、客足が戻りつつあった時期でした。個室も9割方完成して、そろそろホームページやチラシで告知を始めようとしていた矢先だったので、ショックは大きかったです(吉永店主)」

野田指導員

「武雄市商工会では、被害の実態を調査して県に報告するとともに、個別相談会、補助金の申請支援を実施しました(野田指導員)」

同店も商工会の支援を受けながら、復興に向けた事業計画を策定し、補助金を申請。9月中旬には営業を再開することができた。

吉永店主

個室ができてから、家族客・グループ客の利用が増え、客単価も上がっています。ホームページを見た新規客の来店も増えました。商工会には、いまも継続的に経営相談に乗ってもらっています(吉永店主)」

以前は経営について一人で悩むことが多かったが、相談相手ができて大分気が楽になったと吉永店主は言う。

野田指導員

「あくまでも主役は、会員である経営者です。指導員として、経営者がやる気になった時、それを側面から支えていきたいと思います(野田指導員)」

武雄市には、3年間で2回の被災、収束しない新型コロナなどにより、不安を感じている経営者も少なくないとのこと。そのなかで、経営者と同じ目線に立って、徹底した伴走支援していきたいと野田指導員は語る。

三太郎寿し Webサイト

野田指導員

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