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物産展に参加し、与那国島の伝統民具の販路を全国に拡大【支援機関とともに 商工会編】

商店街・まちづくり
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「認定支援機関(経営革新等支援機関)」とは、国が経営の専門知識のある個人や団体を認定する制度であり、商工会・商工会議所、金融機関、税理士・社会保険労務士・中小企業診断士などの専門家が認定支援機関として登録されています。

今回の「支援機関とともに」では、日本の最西端にある与那国島で受け継がれてきた伝統工芸品「クバ民具」を製造・販売する事業者が、商工会の支援を受けながら、県内外の物産展への参加等を通じて、全国に顧客を広げている、販路開拓の事例をご紹介します。

よなは民具
認定支援機関

与那国町商工会(沖縄県八重山郡与那国町字与那国59-3)

支援企業 よなは民具
企業概要 クバの葉を使った与那国島の伝統工芸品の制作・販売
所在地 沖縄県八重山郡与那国町字与那国247-1
WEBサイト https://www.facebook.com/yonahaminngu/?ref=page_internal外部リンクはこちら

県内外の物産展の出展を通じて、販路を拡大

沖縄本島から南西へ約500km、台湾までは110kmほど。与那国町は、黒潮が流れる濃い青の海に囲まれた日本の最西端の島だ。亜熱帯気候で年間を通して暖かく、年平均気温は25度弱。海風が強く吹くため、沖縄本島よりも体感的には涼しい。

よなは民具の與那覇有羽(よなは ゆうう)・桂子夫妻は、この与那国町で「クバ」というヤシ科の植物の葉で編まれた民具を制作・販売している。代表的な民具は「ウブル」という水汲みカゴ。島にまだ水道がない時代、川や井戸から水を汲むために使われていたのだと言う。

與那覇氏

「最近は、『水汲みカゴ』という本来の利用方法だけでなく、バッグや花瓶、インテリア等としても使われています(與那覇氏)」

與那覇桂子氏は、沖縄本島で生まれ育ち、有羽氏との結婚を機に与那国町に移り住んだ。有羽氏が帰郷するにあたって、「先祖から受け継いできたクバ民具の作り手を絶やしたくない」と思い、2012年に夫婦二人で「よなは民具」を設立した。

起業してすぐに与那国町商工会の会員となり、販売促進や販路開拓の支援を受けてきた。

與那覇氏

「販路開拓にあたって、非常に効果的だったのが、商工会の補助金を活用した県内外の物産展への参加・出展です(與那覇氏)」

その一つが、商工会の物産展「県外フェア」である。これは、首都圏のショッピングセンター等を会場に、与那国町の事業者が特産品販売や観光PRを行うというもの。よなは民具は、2012年から毎年のように、この県外フェアに参加して、首都圏の消費者にクバ民具をアピールしてきた。

また、沖縄本島での物産展「離島フェア」も販路開拓につながった。これは、与那国島・石垣島・伊平屋島などの離島の事業者が、それぞれの島の特産品を販売するというもの。よなは民具は「チーム与那国島」として参加し、クバ民具のファンを増やしていった。

このような県内外の物産展で知り合った顧客やバイヤーのつながりが、全国への販路拡大につながったと與那覇氏は言う。

商品画像1

商品画像2

商品画像3

与那国島を売り込むことが、自社の売上拡大に直結

与那国町商工会の東崎香代(こちざき かよ)経営指導員は、もともと沖縄本島の町役場職員だった。町役場職員として商工会との連携イベントを実施していた時、地域の事業者に寄り添う経営指導員の仕事に大きな魅力を感じて転職を決意。2022年4月、与那国町商工会に赴任した。

よなは民具を初めて訪問したのは、商工会主催のカジキ釣り大会スタンプラリーの協賛をお願いするためだった。

東崎経営指導員

「與那覇さんとお会いした時、『もっと与那国島を盛り上げていきたい』という思いを強く感じました(東崎経営指導員)」

與那覇氏

「私たちの商品を売るためには、まず与那国島を売らなくてならないと感じているからです。それは、他の事業者も同じだと思います(與那覇氏)」

与那国町商工会の会員には、観光・レジャー・旅館・飲食・食品製造等に関わる事業者が多く、与那国島の知名度アップ・ブランド力向上は共通の課題だと言う。

そのため、県外フェアや離島フェアには、「チーム与那国」として事業者が結束して参加。それぞれのブースのカラーやのぼりデザインを統一し、自分たちの商品とあわせて与那国島を積極的にアピールしていたという。「これにより、物産展に与那国島目当ての客が増えたことから、最近は他の島もマネするようになった」と與那覇氏は笑う。

また、よなは民具は与那国島の観光の魅力を高めるためのコンテンツとして、ワークショップを実施。観光客に、水汲みカゴの「ウブルづくり」を実際に体験してもらうことで、クバ民芸の魅力を伝えている。

與那覇氏

「よなは民具のはじまりは、『クバ民具の作り手が途絶えてしまう』という危機感からでした。ワークショップを通じて、一人でも多くの方にクバ民具づくりの楽しさを伝えることができれば、これ以上の喜びはありません(與那覇氏)」

イベント画像1

イベント画像2

与那国島の魅力を、全国にもっと発信していきたい

よなは民具は、県内外の物産展への出展やワークショップの開催、また自店のFacebookやInstagram等を通じて、クバ民具のファンを全国に広げてきた。

與那覇氏

「現在は、沖縄県よりも首都圏のお客様から注文の方が多くなり、手ごたえを感じています。私たちのクバ民具が、全国の方に与那国島に興味をもっていただくきっかけになれば、嬉しいです(與那覇氏)」

東崎経営指導員も、与那国島を盛り上げるために何ができるか、を日々考え続けているところだ。

東崎経営指導員

「もちろん与那国島をPRするための広報やイベントも大切ですが、最も重要なのは、一社一社の事業者が自社の強みを磨いていくことだと思っています(東崎経営指導員)」

そのためには、表面的な数字だけを見るのではなく、その奥にある数字の原因を分析することが必要になる。たとえば、物産展で売上が悪かったら、その理由を深堀することで、新製品の開発や計画書の作成につなげていきたいと言う。

最後に、与那国島の魅力について二人に聞いてみた。

與那覇氏

「海底の地形がダイナミックでダイビングに人気があります。また、『与那国馬』という背の低い在来馬の牧場とか、お酒のお好きな方は与那国島の地酒『花酒』もおすすめです(與那覇氏)」

東崎経営指導員

「与那国に来てまだ半年ですが、強い海風が吹いて沖縄本島よりも涼しく、気持ちのいい土地です。海の色も沖縄本島のエメラルドグリーンとは違う、ディープブルーです。ぜひ一度遊びに来てください。(東崎経営指導員)」

日本最西端から全国に向けて、与那国島の魅力をもっともっと発信していきたいと、二人は言う。

相談の様子

与那国の馬

与那国の海

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