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桐箱の製造技術を活かして、新商品開発に挑戦【支援機関とともに よろず支援拠点】

補助金虎の巻
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よろず支援拠点は、国が設置した無料の経営相談所です。ここでは、売上を伸ばしたい、販路を拡大したい、新商品を開発したい、後継者がいないなど、事業者の方が抱える様々な経営課題に、複数の支援機関と専門家であるコーディネーターが知恵を出し合い、事業者とともに解決のための道筋をアドバイスしていきます。

今回は、富山県の伝統工芸品を収める「桐箱」の製造事業者が、一般消費者向けの新商品の開発をするにあたって、富山県よろず支援拠点が行ってきた支援の事例についてご紹介します。

支援機関 富山県よろず支援拠点
所在地 富山県富山市高田527 情報ビル1F【(公財)富山県新世紀産業機構内】
支援企業 美術木箱うらた
事業概要 桐を中心とする木箱の製造販売
所在地 富山県高岡市下麻生4521-3
ホームぺージ https://www.kibako-urata.com/外部リンクはこちら

桐箱の製造技術を活かして、新商品開発に挑戦

「美術木箱」とは、美術品などを入れる桐箱のこと。桐には抗菌・防虫・湿度調整などの優れた作用があるため、桐箱は貴重な美術品や工芸品の保管に使われている。昔から、絹の着物を桐のタンスにしまっておいたのも同じ理由である。

美術木箱うらたは、30年前から富山県高岡市で、桐箱を製造販売してきた。2019年1月には、創業者の長男である浦田健志氏が二代目に就任。この代替わりを機に、桐箱以外の桐製品の販売に挑戦しようと考えた。きっかけになったのは、代表の妻である浦田亜希穂氏からのキッチン用品の制作を頼まれたことだった。

浦田氏

「主人にコーヒー豆の収納ケースを桐箱で作ったり、アウトドアでも使用できる木製品を作ってもらいました。SNSにアップしたところ、非常に好評で『私も欲しい』という声が寄せられるようになりました(浦田氏)」

大手通販サイトで自宅やアウトドアでも使用できる木製品を試験販売すると、次々に注文が入った。手ごたえを感じたことで、桐箱の技術を活かした日用品を開発販売したいと思うようになった。

しかし、いままでの製品は工房・メーカーからの受注生産だったので、桐箱の製造技術はあっても、消費者にモノを売った経験もモノを売るノウハウも全くない。何をすれば良いのか、どこから手を付ければ良いのか分からない状態だった。
そんな時、知り合いの経営者から「商工会議所に相談してみたら」とアドバイスを受けた。「商工会議所って、一体何をするところだろう」と思いながら、2020年1月、高岡市商工会に、新たな桐製品の販路開拓について相談した。

浦田氏

「商工会の経営指導員の方が、事業計画の作り方、販売促進のポイントなどを手取り足取り教えてくれました。女性の経営指導員の方だったので、主婦の視点から商品開発のアドバイスもいただきました。そのなかで、消費者に販売するためには、桐製品のブランド化が欠かせないということにより、よろず支援拠点に相談してみてはと言われました(浦田氏)」

美術木箱うらた 工場画像01

美術木箱うらた 工場画像02

美術木箱うらた 工場画像03

桐製品の商品化・ブランディングを支援

よろず支援拠点は、国が設置した無料の経営相談所である。富山県よろず支援拠点は、(公財)富山県新世紀産業機構内にあり、中小企業診断士・税理士・技術士・社会保険労務士・ITコーディネーター・デザイナーなど、様々な分野の専門家がコーディネーターとして、経営課題の解決に向けたアドバイスを行っている。
中小企業支援センター経営支援課の勝原隆彦マネージャーは、よろず支援拠点の窓口となり、事業者をサポートしてきた。

勝原マネージャー

「浦田さんから相談を受けて、一般消費者に桐製品を販売するための課題を一つ一つ整理し、よろず支援拠点のコーディネーターとともに、ブランディング・販売促進のための方法について一緒に考えていきました(勝原マネージャー)」

まず、桐製品のブランドコンセプトを明確にすることにした。ブランドとして、特にこだわったのは、①現代の暮らしの風景にマッチするデザインであること、②キッチン用品として安心して使えること、③一生ものクォリティを追求すること、の三点である。
デザイン面については、金沢のプロダクトデザイナーに設計を依頼し、昔ながらの古い桐箱のイメージを一新し、モダンな空間にも調和するデザインとした。

キッチン用品として安心に使用して頂けるように、木材は国産の桐材を原木から管理し、漂白剤を使用せず数カ月から数年かけてアクを抜き、乾燥させたものを使用。塗装はせず、色を付ける場合はバーナーにて焼き付ける焼桐の技法を用いた。製造工程上どうしても必要な接着剤も食品衛生法適合したものを使うなど、使う人にも中に入れる食品にも環境にも優しく安全・安心にこだわったSDGsに配慮した製品作りを心掛けている。さらに熟練した職人の丁寧な手仕事にこだわり、メンテナンス・アフターケアも含めて、使う人の暮らしに寄り添いながら、一生ものの高品質を追求した。

浦田氏

「インターネットで検索すれば、安価な桐箱や桐製品はいくらでも見つかります。しかし、当店の桐製品は大量生産できず、製品化できるまでに桐に手間をかけ高品質の国産桐材となるように、年数を要してるため、かなり高価です。他社と差別化するために、ブランドコンセプトは明確にしました(浦田氏)」

2020年9月、桐製品の第一弾として、「RICE STOCKER(米びつ)」を開発。コンセプトに基づき、ブランド名はキリ(桐)+クラフト(工芸)から「キリフト(KIRIFT)」とした。

 KIRIFT商品

KIRIFT商品

RICE STOCKER

RICE STOCKER

販路開拓のため、様々な公的支援策を活用

桐製品の新ブランド「キリフト」のブランディング・販路開拓にあたっては、よろず支援拠点・商工会の支援を受けながら、様々な公的支援策を活用した。
「キリフト」のブランディングと、第一弾商品となる「RICE STOCKER(米びつ)」の開発については、商工会の経営指導員等から伴走型支援を受けながら、「小規模事業者持続化補助金」を活用。キリフトのリーフレット作成などを行った。
よろず支援拠点では、「キリフト」の新事業展開のための事業計画の策定を支援。これを「経営革新計画」として申請し、県知事の承認を受けた。経営革新計画の認定を受けることで、国や県等の公的支援が受けやすくなる。

販路開拓にも、公的支援策を活用した。まずは富山県内の性能・品質・デザインに優れた工業製品「富山プロダクツ」の認定を受けた。これにより、富山県のアンテナショップである「日本橋とやま館」での販売、展示会への出展がしやすくなった。
また、富山県新世紀産業機構の「とやま中小企業チャレンジファンド事業」を活用し、2021年2月、キリフトの「オンラインショップ」を開設。オンラインショップは製品販売以上に、ブランドコンセプトの発信にも力を入れ、一般消費者はもちろん、百貨店等のバイヤーにもアピールできるものとした。
その他、販促ツール・展示会の出展をサポートする「富山県産品磨き上げ事業」、販路開拓マネージャーが販路開拓を支援する「中小企業首都圏販路開拓支援事業」などを活用し、キリフトブランドの周知・販路開拓を進めた。これにより、首都圏のデパートやインテリアショップ、大手通販サイトから引き合いがくるようになったと言う。

浦田氏

「以前は商工会が何をするところかも、よろず支援拠点が存在することも、知りませんでした。しかし商工会に相談してから、経営指導員や専門家等の方々との出会いがあり、ブランド化・販路開拓までの道筋が一気に開けた感じです(浦田氏)」

勝原マネージャー

「浦田さんと知り合って2年ですが、この間、経営やマーケティングについて真剣に勉強されています。よろず支援拠点では、専門家が知恵を出し合いながら、事業者の経営課題を解決する方法を考えていきますが、解決の主体となるのは、あくまでも事業者自身。私たちはそれを支援する立場です。よろず支援拠点との出会いを通じて、浦田さんのように、事業者の方が経営者として成長していただける、そのきっかけになれば、これ以上の喜びはありません(勝原マネージャー)」

2021年5月、同事業所はJETRO(日本貿易振興機構)が日本各地の魅力ある工芸品の輸出を支援する「TAKUMI NEXT 2021」に採択された。国内海外を問わず、様々な可能性を模索しながら、これからも販路開拓を進めていきたいと浦田氏は語る。

 展示会

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よろず支援拠点での相談風景

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