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業績向上の仕組みづくりシリーズ① リーダーの育成

補助金虎の巻
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営業組織を維持・向上するためには優秀なリーダーが必要となります。

しかしながら、将来管理職になることを希望する若手社員は多いとは言えず、リクルートマネジメントソリューションズが2020年に新入社員を対象に行った意識調査では、「管理職に「なりたい」と答えたのは 2 割弱。」※と報告されています。

今回は、業績向上の仕組みづくりシリーズ第一弾として、リーダー育成の観点から生産性を高められる組織構築についてご紹介いたします。

※出典:https://www.recruit-ms.co.jp/upd/newsrelease/2007071048_8607.pdf

リーダー育成イメージ

組織が求めるリーダーと若手社員とのギャップ

最近、若い営業マンたちと話をする機会がありました。

どの人も優秀な成績をおさめているトップセールスマンです。彼らが異口同音に口にしたのは、「リーダー(組織管理職)になんかなりたくない」という言葉。これは私にとって、かなりショックな出来事でした。

社会環境の急激な変化の中で、ライフスタイルが多様化して、出世だけが人生の選択肢ではなくなってきているのは、間違った価値観ではないと思います。物質的な豊かさは、必ずしも幸福の尺度には成り得ませんし、競争を是としない、ゆとり世代が増えてきているという現状もあります。

とは言え、やはり彼らが日常で目指す姿というものは、自分たちの上司であり、実質的に会社を動かしている中間管理職なのだと思っていました。

なんで、リーダーにはなりたくないの?

彼らは迷うことなく、上司を見ていて大変そうだからと答えます。

つらくて忙しいのに、それが報われていない。いつも精神的に追いつめられている。

リーダーとは、そういう割に合わない仕事なのだそうです。

そんなことに振りまわされるくらいなら、自分自身の営業成績を上げているほうが、どれだけ効率的で楽しいかもしれない。

以前、私が企業で営業革新の責任者をしていたとき、その会社には営業マンが六千人ほどいました。その時、たった二割のトップセールスマンたちが、全体業績の六割を作り出していました。

もし、この二割の人たちが、自分の業績のことだけを考えていたら、会社は瞬く間に倒産していたでしょう。しかし近い将来、日本の社会は、本気でそういう心配をしなくてはならなくなるのかもしれません。

リーダーの仕事とは

もちろん、戦略の立案や人材の育成は、リーダーの重要な仕事です。ただ、誰もがスティーブ・ジョブズやビル・ゲイツのようなカリスマ的なリーダーになれるわけではありません。

近年の厳しい市場環境において、顧客が営業マンに求めているのは、優れた商品の提供でも、安価なサービスでもありません。新たな価値の創造を、一緒にしてくれるパートナーとなってくれることです。そのためにはビジョンを共有し、潜在的な課題や問題を顕在化し、顧客と同じ視線で市場を見るという、高度な営業プロセスが求められるのです。

だからこそ、売れる営業マンを作るのではなく、営業マンが売れる仕組みを作る必要があります。

すべてが中間管理職であるリーダーたちに皺寄せされるのではなく、組織が営業力強化を持続的に進めていくだけの覚悟を持つのであれば、リーダーという仕事は、もっと楽しくてやりがいのあるものになるはずです。

若い営業マンたちが、リーダーになりたいと心から思えるような仕組みが構築され、社員が夢と覚悟を持ってリーダーを目指していけるようになることが、企業の業績向上にとって一番大切なことだと思います。

では、その仕組みとは、いったいどのようなものでしょうか。

業績向上の仕組みづくり(営業力強化の四大要素)

ビジョン共有イメージPC

ビジョン共有イメージSP

1.企業理念の共有とビジョン(あるべき姿)の明確化

●組織の設計

  • ・企業理念やビジョンが浸透した風土・文化の醸成が組織を強力にします。
  • ・生産性が高く、コミュニケーションが円滑な組織づくりが大切です。

●会議体の構築

  • ・役割の明確化による会議の活性化が常に求められます。
  • ・情報伝達(上⇔下、部門⇔部門、市場・顧客⇔経営層)の仕組み構築が重要です。

2.理念共有型の人材採用

●企業ブランドの構築

  • ・採用活動の第一の目的は企業価値向上の実現です。経営理念や企業ビジョンを明確化し、社員に浸透させる最大のチャンスと捉えます。

●社員の成長とモチベーションアップ

  • ・採用プロセスの設計および施行の過程で、社員が成長の機会を得ることができます。セミナー、インターンシップ、交流活動などを学生に提供する中で、社員が自発的に活動することで強い組織を作ることが可能です。

●優秀な人材の採用(理念共有型人材の採用)

  • ・能力重視ではなく、企業理念やビジョンを共有できる人材を採用することで、内定辞退や早期退職を減少させることが可能です。
  • ・新卒学生を採用活動の中で育成し、即戦力として入社させることで、投資の早期回収による業績拡大を目指すことができます。

3.情報活用を支援するITインフラによる “営業プロセスの見える化”の推進

●SFAやCRMの導入により営業プロセスの強化が実現できます。

営業標準の策定(営業のガイド化/営業マニュアルづくり)で、営業活動の属人化を防ぎ、営業活動で得た顧客情報を企業資産として有効活用できます。

●SFAやCRMの導入で、四つの営業生産性向上が実現できます。

  • ・市場の見える化(マーケティングの強化)
  • ・顧客の見える化(顧客セグメントの策定による優先順位の明確化)
  • ・商談プロセスの見える化(営業商談の標準化)
  • ・業績の見える化

4.評価・報奨制度改革による“やる気”の醸成(評価の見える化)

●評価人事制度改革

  • ・評価の見える化(評価委員会/社員プロジェクトチームによる評価制度設計)で、社員のモチベーション向上が実現できます。

●報償制度によって社員の人生設計における自己実現を支援することで、高い生産性向上を実現できます。

  • ・営業報償制度(インセンティブ)設計
  • ・社員表彰制度設計
  • ・社員チャレンジ制度(自己啓発支援)

5.情報を有効活用した販売戦略の推進(マーケティング/販売事例の共有)

●販売事例の共有

  • ・導入事例のライブラリー化による顧客提供価値の強化

●提案書の品質強化

  • ・提案書ライブラリーによる提案品質強化
  • ・提案書のテンプレート化(一次提案書、二次提案書、フォロー提案書)

6.セールスプロモーションの強化

●セミナーの活用

  • ・セミナーを活用した顧客提供価値の拡大
  • ・セミナー講師の内製化(社員講師による社員のスキルとやりがいの向上)

●社内実践

  • ・自社の事業(商品やサービス)を社内の業務に活用することで、顧客提案力の強化ができます。
    ●顧客導入事例を活用した提案力の強化

  • ・顧客は同業他社の改善事例・導入事例の情報を求めています。積極的に顧客導入事例の情報提供をすることで、業績拡大を実現できます。

7.人材育成の徹底強化

●理念共有型営業力強化研修

  • ・理念の言語化
  • ・アクティブラーニング研修

●SFAを活用した実践的案件レビュー(ケーススタディ)

  • ・最小組織単位(リーダーと部下)での案件レビュー
  • ・ロールプレイングの強化

8.チームセリングの仕組み構築

●営業体制の見直し

  • ・能力別/評価別のチーム編成による顧客価値提供力拡大

●顧客情報・商談情報の共有

  • ・SFAを活用した担当顧客/担当エリアの再編
  • ・営業活動を計画段階(予定)から共有することで、顧客への価値提供力を向上させるこができます。

持続的で生産的な営業組織を構築するために

私のかつての上司はゴルフがとても好きな方で、よく一緒にプレイをさせていただきました。この上司が、おもしろい例え話をしてくれたことがあります。

まずはいつまでにスコアで90を切るのだと、はっきりと宣言をすることが大切だと言っていました。ビジョンの共有ですね。

そのために上司は、十万円もする高性能のドライバーを買いました。やはり、勝つためには道具は重要です。仕組みの構築です。

しかし、それだけではスコアは上がりません。スコアメイクには情報活用が必要になります。コースをまわるときにはキャディさんを頼んで、『あの木の向こう側には、見えないけれど池がある。必ず避けるように』という情報をもらうわけです。

ところが、そこまで教えてもらっているのに、上司はやっぱり池にボールを落としてしまいます。練習も必要なんです。タイガー・ウッズだって、コーチに教わりながら練習をするんです。教育を受けなければ、スコアメイクはできません。

 「ビジョンの共有」「仕組みの構築」「情報活用」「教育」を同時に進めていくことで、生産性向上が可能になるという、まさに営業組織の改革に通じる、とてもわかりやすい例え話でした。

 さて、次回は業績向上の仕組みづくりである営業力強化の四大要素の中で、ひとつ目の「ビジョンの共有」について、詳しくお話をさせていただきたいと思います。

杉山 大二郎


作家・経営コンサルタント

https://www.daijirosugiyama.jp外部リンクはこちら

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