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「補助金の申請事例・ものづくり補助金④」 ~ オリジナル卵「ゆずたま」の焼き菓子で、販路を拡大 ~

補助金虎の巻
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ものづくり補助金を活用した設備投資等の補助事業については、その事業効果を具体的に記載する必要があります。その際、既存事業(既存商品)と新事業(新商品)の関連性や相乗効果について記載することで、事業効果を分かりやすく説明することができます。

今回は、オリジナル商品の生卵を原材料にした「焼き菓子」製造の設備投資のために、ものづくり補助金を活用した事例をご紹介します。実際の申請書類を見せていただきながら、作成のポイントについてご説明します。

※申請種類は、申請当時のものであり、書式は現在と異なります。

申請補助金 平成26年度補正 ものづくり・商業・サービス革新補助金
補助事業 「ゆずたま」を使用した焼き菓子の種類を増やし製造能力、安全向上能力の向上
申請者 ヤマサキ農場 代表 山崎 吉恭
担当者 専務 山崎 由紀夫
補助金交付額 3,204,666円
ヤマサキ農場

ヤマサキ農場

所在地:
高知県南国市国分1305-5
電話:
088-862-0135
WEB:
https://yamasakinojo.com/

補助金導入のきっかけ

「ゆずたま」の強みを活かした菓子をつくりたい。

ヤマサキ農場は、約4万羽を飼育する高知県の養鶏農場である。4万羽という数は何十万羽という飼育数も珍しくない養鶏業者のなかでは、規模は大きくない。また立地面についても、大都市近郊の養鶏業者よりも物流コストがかかるため、価格競争では不利である。

このようなマイナス面を補うために、同農場は卵の付加価値を高める戦略をとってきた。その一つが、エサと水へのこだわりである。飼料にはノンポストハーベストで遺伝子組み替えしていないのトウモロコシを、水は電子イオン水を使用して養鶏を行い、「桃太郎たまご」としてブランド化してきた。

山崎専務

「ウチのような小規模のところは、卵の単価を上げない限り、利益を確保できません。『ゆずたま』を開発したのも、他社と差別化できる付加価値の高い商品が必要と感じたからです。」

「ゆずたま」とは、同農場が生産する、ゆずの香りがする生卵。「養殖のブリのエサにみかんの皮を混ぜたら生臭さがなくかった」というニュースから着想を得たのだと言う。同じ柑橘系である高知県特産のゆずの皮を鶏の飼料に混ぜたらどうなるだろうか、と考えて開発をスタート。その結果、硫黄のような卵独特の臭いが軽減され、ほのかにゆずの香りを感じる生卵「ゆずたま」が完成した。

平成26年8月より、県内スーパー等で販売したところ評判は上々だった。そこで、この「ゆずたま」の強みを活かして、「ゆずたま」を利用した焼き菓子の製造・販売に本格的に挑戦することとした。

山崎専務

「焼き菓子製造のための設備投資について、高知県産業振興センターのよろず支援拠点に相談しました。」

コーディネーターからものづくり補助金を紹介され、申請することにした。

山鶏舎全景

▲ 山鶏舎全景

事業計画書作成のポイント

第三者に伝わるように説明する

同農場は補助金申請の経験がほとんどなく、山崎専務も申請のための書類や事業計画の作成は初めてだった。そこで、よろず支援拠点からアドバイスを受けながら、申請書類することにした。

山崎専務

「事業計画といっても、最初はどう書けばよいのか、さっぱり分かりません。よろず支援拠点のコーディネーターに添削してもらいながら作成していきました。コーディネーターのかたからは養鶏業に詳しくない、第三者が見て分かるように、丁寧に説明していくようにアドバイスされました。」

事業計画のなかでは、

  1. ①「弊社の現状」として、同農場のオリジナル(日本初)商品である「ゆずたま」の強みについてふれた。
  2. ②「焼き菓子製造の現状及び課題」としては製造能力が低く大量の注文に対応できないこと、一つ一つの工程に時間かかることを記載した。
  3. ③「本補助事業による取組及び予想される効果」としては、大型ミキサー・オーブン・金属探知機・シール機を導入することにより生産性が高まり、顧客の注文に応じる生産体制が構築でき、新製品を開発する余力が生まれることを述べた。

現状の製造設備の課題については、設備の写真などを使いながら、具体的な製造能力、現在の工程について記述していった。

相乗効果による売上増を強調

将来の展望(事業効果)については、説得力を与えるため、既存商品との相乗効果を強調した。

山崎専務

「事業効果については、『ゆずたま』と一緒に関連商品である焼き菓子を販売することのことのメリットを記述しました。」

「ゆずたま」の焼き菓子を、生卵の「ゆずたま」と一緒にスーパーマーケット・百貨店等に販売することで、効率的に売上増が期待できること、またいままで取引がなかった菓子問屋などに対して販路拡大できることを記載した。また、有名百貨店のお中元カタログなどへのセット商品の掲載など、ギフトニーズに対応することで、新たな販路開拓の可能性にも言及した。

山崎専務

「コーディネーターからは、補助事業による設備投資が、売上増につながることを具体的に説得力をもって記述するようにアドバイスされました。」

他社と差別化されたオリジナル商品「ゆずたま」という強みを広げることで、将来の売上増につながる具体的なイメージが伝わるようにしたと、山崎専務は言う。

事業計画書類画像01

事業計画書類画像02

事業計画書類画像03

▲ 実際の事業計画書の抜粋

補助事業の効果

関西、中部、首都圏に販路が拡大

現在、「ゆずたま」は県内外のスーパーマーケットや百貨店で6個入り400円~500円で販売されている。これは、普通の卵の3~4倍の価格であり、高級生卵としてのブランドの認知が進んでいる。消費者からは、「生卵は苦手だがゆずたまなら平気」「納豆がおいしく食べられる」などの声が寄せられ、リピーターも多い。

「ゆずたま」の焼き菓子については、無添加の国産原材料にこだわり、北海道産のバター・小麦粉、鹿児島産の粗糖、高知産の塩などを使い、スイーツファンから高い評価を受けている。さらに、贈答用ニーズに対応した、「ゆずたま」と焼き菓子のセット商品も開発し、好評だ。
これらの商品は、高知県アンテナショップ「まるごと高知(東京都中央区銀座)」でも販売され、首都圏でのブランド認知も進んでいる。

山崎専務

「2020年11月からは、インターネット通販もスタートしました。全国に『ゆずたま』を知っていただくチャンスだと考えています。」

高知から全国へ。オリジナル商品「ゆずたま」を強みとして、同農場は販路をさらに拡大していくつもりだ。

ゆずたま 生産者

ゆずたま

ゆずたまスイーツ

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