補助金の申請事例・IT導入補助金②~洋菓子店で、オンライン受注システムを導入~
IT導入補助金は、中小企業・小規模事業者等が、経営課題やニーズにあったITツールを導入する時、その経費の一部をサポートする補助金です。
令和元年度補正 IT導入補助金では、新型コロナ感染症対策のための特別枠が創設され、①サプライチェーンの毀損への対応、②非対面型ビジネスモデルへの転換、③テレワーク環境の整備等に取り組む事業者に補助率の上乗せなどが行われました。
今回は、IT導入補助金特別枠(C類型-2)を利用した事業者の方に、実際の申請書類を見せていただきながら、支援者とどのように協力し、申請書類を作成したのかをご紹介します。
申請補助金 | 令和元年度補正 IT導入補助金 |
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補助事業名 | オンライン受注システムの導入 |
申請者 | 有限会社ミラベル 取締役 江藤 多重子 |
支援者 | 株式会社アニー 木村 純平 |
補助金交付額 | 536,250円(特別枠・補助率3/4) |
有限会社ミラベル
補助金導入のきっかけ
有限会社ミラベルは、1979年に創業した洋菓子店。2種類のスポンジの市松模様が美しい「ダミエ」は同店の名物ケーキとして、長年にわたり愛され続けている。江藤皓史代表は従業員だったが、先代オーナーから事業譲渡されてオーナーとなった。
同店は、2019年の消費税軽減税率のスタートを機に、POSレジを導入していたが、コロナ禍を受けて、POSレジと連動したオンライン受注システムの導入を検討した。
「少し早い気もしましたが、以前からインターネット通販に挑戦したいと思っていたこと、新型コロナ対策として非対面型サービスを力を入れたいと考えたことから、いまが導入の良い機会だと思いました」
「当社の顧客管理POSレジシステムは、洋菓子店に特化したものです。今回、ご提案したのは、このPOSシステムと連動したシステムになります」
システム導入にあたり、IT導入補助金の活用を決定。申請書類の作成については、オーナーの妻でもある江藤多重子取締役が責任者となった。
申請書作成のポイント
フォームとラジオボタンで種類を作成
IT導入補助金の申請は、電子申請のみの受付となるため、gBizIDのプライムアカウントが必要になる。アカウントを取得後、申請マイページから交付申請書類を作成し、送信するというのが大まかな流れだ。
「交付申請書類は、入力フォームに必要事項を記載して作成します。各項目については、アンケートの要領で、該当するラジオボタンをチェックするカタチになっているので、補助金申請に詳しくない私でも、簡単に作成できました」
たとえば、企業の強み・弱みもラジオボタンをチェックするだけで、入力できる。フリー記載のスペースには、「ITスキルのある従業員が在籍しているので、その知識や技術を活用できる」との同店独自の強みを記載した。
「システムの導入にあたって、経営課題等を整理していただくため、中小企業診断士をご紹介し、申請のアドバイスしてもらいました」
申請書の作成は、ITベンダーや専門家との共同作業。ITや経営の知識については、支援者のサポートを受けた。
労働生産性指標について
IT導入補助金は、「労働生産性の伸び率が1年後3%以上、3年後9%以上」が申請要件となっている。このことを念頭に置いた、計画数値を記載しなくてはならない。
「事業計画と関わるところなので、オーナーや店主と何度も話しあいました。このシステムを導入することで、顧客の囲い込みと、顧客の開拓を行うことで、売上を増やしていくことを確認し、数値目標を設定しました」
労働生産性指標は、導入するITツールの目的や効果など、導入ツールとの整合性を考えた計画にしていくことが大切である。
補助事業の効果
2020年10月、同店はオンライン受注システムを導入。ケーキのオンライン予約をスタートした。
「オンライン予約ができることで、休日・営業時間外も受注できますし、また従業員の電話対応も省力化できるのではないかと期待しています。とくにクリスマス前の繁忙期にオンライン予約が増えるのではないかと考えています」
そして今後は、会員カードとの連携強化を図りながら、インターネット通販も視野に入れている。
「遠方に引っ越したお客様から当店のお菓子を取り寄せたいという声もいただいています。贈答用ニーズもかなり高いのではないでしょうか。オンライン販売により、全国に私たちの洋菓子を届けていければと考えています」
新型コロナウイルスの影響により、非対面型サービスへのニーズは高まっている。これを大きなビジネスチャンスにしたいと語る。
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