よくわかる!「障害者雇用」
「一億総活躍社会」では、障害のあるなしに関わらず、すべての人が自分の能力を発揮して働くことのできる社会をめざしています。その実現のためには、できるだけ多くの事業主の方に、障害者を雇用していただくことが重要です。
そこで国は、障害者雇用に関わる助成金・補助金を用意し、障害者雇用の環境づくりをすすめています。
障害者雇用には「社会貢献」の側面だけではありません。「業務の改善・効率化」、「人材不足の解消」、「人材の定着率向上」などの様々な利点があります。ぜひ積極的な取り組みをお願いします。
1.人材不足の解消
障害特性に配慮しながら、適正な人事配置等を行うことで、障害者を貴重な戦力として活用している企業が数多くあります。
- 事業主の声
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- 仕事ぶりはゆっくりだが、丁寧なので間違いが少ない。
- 勤怠が安定しおり、確実に作業量をこなしてくれる。
- 人手不足の中で、貴重な戦力として会社を支えてくれている。
2.職場環境の改善
障害者にとって働きやすい環境は、障害のない社員にとっても働きやすい環境です。障害者雇用のための環境整備が、職場環境全体の改善にもつながります。
- 事業主の声
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- 社員が気配りの心を持つようになった。
- 上長のマネジメント能力が向上した。
- 障害のない社員の業務負担が減り、働き方改革につながった。
3.従業員の意識改革
障害者のひたむきに働く姿が、他の従業員への刺激となり、職場全体の雰囲気が良くなったという声もあります。また障害者雇用に取り組む企業の一員であるという、従業員の誇りの醸成にもつながります。
- 事業主の声
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- 障害のある社員がいつも笑顔でいるので職場が明るくなった。
- まじめな勤務態度が、他の従業員への刺激になっている。
- 従業員の社会貢献に対する意識が高まった。
4.業務の効率化
障害者雇用をすすめるためには、障害特性にあわせた業務の切り分けや、作業プロセスの見直しが欠かせません。それが、業務の効率化・生産性の向上につながる例も珍しくありません。
- 事業主の声
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- 特定の作業を障害者にまかせることで、他の社員が本来業務に専念できるようになった。
- 複雑だつた作業プロセスを標準化し、シンプルにするきっかけになった。
- 仕事のやり方を見直すきっかけになった。
障害者の雇用促進に関する法律(障害者雇用促進法)
従業員を一定規模(45.5人)以上雇用している民間企業は、「常時雇用している労働者数」の2.2%以上の障害者を雇用することが法律で定められています。
障害の種類について
障害には「身体障害」「知的障害」「精神障害」「発達障害」などの種類があります。
- 身体障害
- 視覚障害、聴覚・言語障害、肢体不自由、内部障害がある人
- 知的障害
- 記憶や知覚、推理や判断といった知的機能に遅れが見られる人
- 精神障害
- うつ病、統合失調症などの精神疾患のために精神機能に障害が生じている人
- 発達障害
- 自閉症、アスペルガー症候群など、先天的な脳の機能障害がある人
障害者雇用の流れについて
障害者の雇用はどのように進めれば良いのか。その基本的な流れについてご紹介します。
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STEP1.地域障害者職業センターに相談
各都道府県に設置された地域障害者職業センターでは、ハローワーク等と連携しながら、障害者雇用についての相談・情報提供・サポートを行っています。
「障害者職業カウンセラー」等の専門家が、障害者を雇用するうえでのポイントを、分かりやすくご説明します。障害者雇用の検討段階から、お気軽にご相談ください。 -
STEP2.事業主支援計画の作成
地域障害者職業センターでは、障害者雇用の課題を分析し、障害者の特性や職務能力にあわせて働けるように「業務の見直しと切り出し」等のアドバイスを行っています。
また必要に応じて、体系的に障害者雇用を支援する「事業主支援計画」の作成もサポートしています。
事業主支援計画の作成には、業務分析・課題分析が欠かせないため、障害者だけでなく、全社員の業務の最適化、効率化を図るきっかけにもなります -
STEP3.ジョブコーチの派遣
障害者が職場に適応できるように、地域障害者職業センターではジョブコーチを職場に派遣し、障害者への直接的なサポート、障害特性に配慮した指導方法のアドバイス、家族へのサポートなどを行っています。
ジョブコーチの派遣は、雇用後だけでなく、雇用前のマッチング段階でも行っています。地域障害者職業センター一覧(独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構)https://www.jeed.or.jp/location/chiiki/index.html
障害者のエントリーシート「就労パスポート」
障害者が、働く上での自分の特徴やアピールポイント、希望する配慮などをまとめたもので、プロフィールシート・エントリーシートのような役割を担うものです。
障害者を採用する時、職務を設定する時に、就労パスポートを利用することで、仕事とのミスマッチを防ぐことができます。
また雇用後、障害者への作業指示、体調把握、コミュニケーションなど雇用管理全般にも役立てることができます。
障害者雇用の事例検索
「障害者雇用事例リファレンスサービス」では、全国の企業が障害者雇用をどのように進め、どのように経営に活用しているのかを紹介しています。
業種や障害の種類ごとに検索ができるため、事業主の業種・業態にあわせた障害者雇用の事例を検索することができます。
障害者雇用事例リファレンスサービス(独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構)
https://www.ref.jeed.or.jp/
障害者雇用に関わる主な助成金
障害者を積極的に雇用していただき、一億総活躍社会を実現するために、国では障害者雇用に関わる助成金を用意しています。
助成金は、「雇用にあたっての助成金」、「働く障害者を支援する助成金」、「環境整備のための助成金」など、多岐にわたります。
ぜひ、ご活用ください。
- 助成金の一例
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- 特定求職者雇用開発助成金(精神障害者を雇用する場合は年80万円×3年間)
- トライアル雇用助成金(精神障害者を3月間の試行雇用する場合は月8万円×3月)
- 障害者職場実習支援事業(障害者の雇用実績がない企業が実習生を受け入れた場合 1人当たり日額5千円)
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