vol.7-3 「確定検査」は事前の準備が肝心!-後編
採択した事業が、補助金の事業目的に合っているのか、計画通り進んでいるのか、当初予定とのかい離はないのかなどを確認する「確定検査」。
「確定検査」対策の後編では、特に注意すべき費目や経理処理などについてご紹介します。
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特に注意すべき費目
~人件費と旅費は”5W1H”を意識し整理することが重要~【人件費】
補助事業期間中の人件費を計上する場合の証拠書類については、補助事業で従業員(アルバイトなどを含む)を雇用した場合、その従業員の業務日誌などの提出が必要です。「いつ・どこで・誰が・何をしていたのか など」が業務日誌で確認できなくてはなりません。”5W1H”を意識し、その内容をもれなく記載しておきましょう。【旅費】
補助事業を行うために必要な移動・出張に伴う経費(交通費・宿泊費など)を指します。
例えば、東京駅から新宿駅まで移動した交通費を計上する場合には、業務報告の一環として、
・日付
・目的
・用務先(この場合、新宿)
・出張者氏名
・どのルートで移動したか
・移動した先(この場合、新宿)で何を行ったか
など、業務報告できちんと記録を残しましょう。また、宿泊を伴う出張の場合の経費(宿泊費など)も同様の業務報告が必要です。(この業務報告は「支払証拠書類の一部」となります)
その他、注意すべき点として、支払証拠書類として提出を求められるものが航空機や新幹線などを利用した場合の「搭乗証明書」や「領収書」などです。なくさないよう保管しましょう。
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購入時から形状が変わる納品物などは、写真を活用し
“事前”と”事後”が確認できるように準備第三者が見て、”事前の状態”と”事後の状態”が確認できることが重要です。
【事例①】工事をした場合
大型工事の場合や、内装工事で壁にクロスなどを張り、途中の状態が見えなくなるような場合には、工事途中の状態を撮るようにしましょう。【事例②】物を製造する部品や材料を購入した場合
部品や材料を購入した場合には、組み立てや加工をする前の写真と、組み立てや加工をした完成後の写真を「加工品を購入したと指摘を受けないために」撮るようにしましょう。補助事業終了時に写真を撮ろうとしても、撮れないものも多数あります。
各タイミングで忘れずに撮影しておきましょう。その他、注意すべき点として、機器などを購入した場合は、「平成●年度 XX補助金 キャビネット?」などのシールを貼った状態で購入時に写真を撮り、他事業との混同や私的使用がないようにしましょう。
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補助事業の経費は口座を区別して経理処理
補助事業の経理処理にあたっては、交付規程など決められたルールに沿って実施しなくてはなりません。
補助事業の経理処理で注意すべき点は、補助金の「交付対象となる経費」と、その他の「補助金対象外の経費」を明確に区別して処理することです。
例えば、個人事業主の場合「個人の資産」と「補助事業の資産」は区別して管理しましょう。
・事業主の個人資産から立て替えて支払った場合には、補助事業期間が終了する前(補助事業終了日前)に個人資産と補助事業資産との間で精算を終わらせておくことが必要です。
・口座を個人資産と補助事業資産のそれぞれで開設すると、管理がしやすく、確定検査を効率的に実施することができます。日ごろから、補助金の対象となる経費と、自社負担の経費を分けて管理しましょう。
また、補助金対象となる経費は、適切な経理処理を行うための各種制限や、取得した財産の管理方法など、通常の経理処理・業務管理とは異なる部分があるので、交付規程であらかじめ確認をしておきましょう。
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報告書・支払証拠書類の提出はお早めに!
「事業化等状況報告書」や「補助事業完了報告書」などの提出期限は、各補助金の交付規程で示されています。
補助金によっては、補助事業終了後すぐに提出を求められます。
そのため、『「確定検査」は事前の準備が肝心!-前編』でお伝えしたように、支払証拠書類をそろえておく必要があります。早期の「補助金額確定」を目指し、正しい「報告書」「支払証拠書類」を早めに提出しましょう。