補助金入門 STEP2:補助事業計画書の作成
ミラサポplus運営事務局です。
「補助金って何から始めればいいの?」と戸惑う方に「補助金入門」と題し、補助金全体の正しい理解を深めていただける情報を、3つのステップでお届けします。
前回の「STEP1:補助金の基本知識」では、補助金の正しい理解のために基本知識、補助金活用にあたっての注意点についてお伝えしました。
今回は「事業計画書」についてご紹介します。
補助金の申請には、申請書類として「事業計画書」が必要です。この事業計画書の作成を負担に感じている、中小企業・小規模事業者も多いかもしれません。
普段、計画書をつくっていない事業者の方も頭の中には、ぼんやりとした事業計画があるはずです。それを事業計画書として言語化する過程で、事業の内容が筋道を立てて整理され、目標の達成ための計画が明確になります。また、事業の進捗管理にも計画書は欠かせません。
補助金の申請をきっかけに事業計画書を作成したことで、経営への取り組み姿勢が変わったという経営者もたくさんいます。
「補助金入門 STEP2:補助事業計画書の作成」では、補助事業計画書のポイント、作成方法について、中小企業庁の所管で補助金の運用などを担当している独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)に話を聞きました。
事業計画書は、補助金以上に経営の助けになる
補助金の事業計画といっても、特別なものではありません。一般的な事業計画(経営計画)と同様に、経営環境・自社の強みや弱みなどの「現状把握」をし、事業の方針・戦略・コンセプトを明確にしたうえで「目標設定」を行い、目標達成のための具体的なアクションプラン「取り組み」を決めていきます。
事業者のなかには、しっかりとした事業計画をもっていないという方もいるかもしれません。事業計画書を作成するにあたり、頭の中を整理する方法の一つに「SWOT分析」や「経営デザインシート」というツールを活用することが非常に有効です。これらのツールは「整理すべき視点」や「考えるべき視点」が示されており、「納得感のある事業計画書」を作成するにあたり、非常に役立ちます。
補助金をきっかけに、「一貫性」「具体性」「実現性」のある事業計画を策定し、PDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)を意識した経営に取り組むことができれば、補助金以上に経営の助けになります。
補助金の申請に関わらず、ぜひ事業計画の策定に挑戦してください。
補助金の事業計画書は、「実現性」が問われる
補助金の事業計画も、一般的な事業計画(経営計画)も本質的には変わりませんが、補助金には「審査」があります。提出された事業計画書の内容が補助金交付に値するかを審査されるため、第三者の視点を意識することが大切です。
補助金の目的によって、事業計画に求められる項目(審査項目)や情報量は異なってきますが、共通して求められるのが「実現性」です。
審査員は、売上・利益などの数値目標が事業者の単なる「期待値」でなく、統計やアンケート調査などに基づいた「予測値」であるかをチェックしています。当該事業計画が「絵に描いた餅」ではなく、事業者の強みを活かした実現可能性の高い計画を作成する必要があります。
支援機関の第三者の視点で、計画書をブラッシュアップ
商工会議所・商工会、信用金庫・銀行などの支援機関で事業計画書作成のアドバイスを行っています。
補助金の事業計画書には「実現性」が求められます。地元の商工会議所・商工会、お付き合いのある金融機関等から第三者視点のアドバイスをもらい、ブラッシュアップしていくことで、説得力ある実現性の高い事業計画書を作成することができます。
最初から事業計画を作って相談する必要もなく、「こんなことをやってみたい」という構想段階から相談することで、徐々に具体化され、やるべきことが形になってきます。新しいことに一歩踏み出すことが重要なのです。
国は中小企業・小規模事業者の課題解決を支援するために、専門知識や実務経験が一定レベル以上にある機関を「認定経営革新等支援機関(認定支援機関)」として認定しています。商工会議所・商工会、金融機関、経営の専門家などが認定支援機関に該当します。
なお、補助金申請のアドバイスを受けるにあたって、一部のコンサル業者等から「高額なアドバイス料」を請求されるケースが発生しています。また、申請支援だけで多額の報酬をもらい、事業実施中の支援や実施後の支援が十分にされないトラブルも聞いています。ご注意ください。
事業計画書の作成は、経営者が主役
補助金の事業計画書は、経営者(事業者)が主体的に責任をもって作成してなくてはなりません。支援機関・支援者は、あくまで経営者の作成のプロセスを支援するという立ち位置になります。
事業計画書の作成は、経営者が自社の経営について見つめ直す絶好の機会です。経営を取り巻く環境、自社のあるべき姿、自社が抱える課題、課題解決のための取り組みなどについて、経営者が考え抜いて、納得できる計画を策定してください。
他人任せで事業計画書を作成しても、経営者が腹落ちしない計画書では、意味のないものになってしまいます。また、融資相談の時に金融機関から事業計画の説明を求められてる場合も多いと思いますが、自分の言葉でしっかりと説明することでと担当者の理解も得られるはずです。
事業計画は、ビジネスにおける必須アイテムともいえます。そして何よりも、経営者自身が主体的に事業計画を策定しないと、PDCAサイクル(計画→実行→評価→改善)を回すことはできません。経営には様々なリスクがあり、事業環境は刻々と変化しています。必ずしも計画通りに進むとは限りません。他人任せの事業計画書では、変化する環境への対応が難しいのではないでしょうか。
次回は最終回「補助金入門 STEP3:補助の審査・交付・報告」です。
補助金の審査方法、補助金の採択から交付までの流れ、その後の事業化実施報告についてお話します。
- 取材協力
- 独立行政法人 中小企業基盤整備機構
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