中小企業庁担当者に聞く「令和4年度第2次補正予算 事業再構築補助金」
令和4年12月、令和4年度第2次補正予算が成立し、第10回公募以降の「事業再構築補助金」の全体像が明らかになりました。
いままでの事業再構築金補助金からどのような点が変更されたのか、事業計画の作成にあたってどんなことに注意すれば良いのかなどについて、中小企業庁 技術・経営革新課の赤堀係長にお話をうかがいました。
事業再構築補助金とは
事業再構築補助金は、ウィズコロナ・ポストコロナ時代の経済環境の変化に対応するために、中小企業等の新分野展開、業態転換、業種転換等の思い切った「事業再構築」の挑戦を支援するための補助金です。
現在、令和5年3月24日を期限に第9回公募が実施されています。(※)
第9回公募は、第8回公募と同じく「通常枠」「大規模賃金引上枠」「回復・再生応援枠」「最低賃金枠」「グリーン成長枠」「緊急対策枠」の6つの「枠」での応募となります。
詳細については、事業再構築補助金事務局サイトでご確認ください。
※第8回公募の採択発表は第9回公募の応募締切後を予定しているため、第8回公募で申請された場合、第9回公募での申請はできません。
令和4年度第2次補正予算 事業再構築補助金の変更点
令和4年度第2次補正予算での事業再構築補助金の事業目的では、新型コロナウイルス感染症の影響に加え、「物価高騰等」の影響への支援、「感染症等の危機に強い事業への大胆な事業再構築の取り組み支援」、「中小企業等の付加価値額向上や賃上げ」等の文言が記載されました。
これにともない、いままでとは申請類型・申請要件等も変更されています。
主な変更点
- ・「回復・再生応援枠」、「緊急対策枠」を再編し、事業再生に取り組む事業者や物価高騰等により業況が厳しい事業者等を支援する「物価高騰対策・回復再生応援枠」を創設
- ・いままでの「通常枠」を再編し、売上高減少要件を撤廃。市場規模が拡大する業種・業態への転換を支援する「成長枠」を創設
- ・「グリーン成長枠」に、要件を緩やかにした「エントリー」類型を創設
- ・市場規模が縮小する業種・業態からの転換を支援する「産業構造転換枠」を創設
- ・製造拠点の国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化・地域産業の活性化に貢献する「サプライチェーン強靱化枠」を創設
※最低賃金引上げの影響を大きく受ける事業者の事業再構築を支援する「最低賃金枠」は継続
申請類型(枠)について
申請類型 | 補助上限額(※1) | 補助率 |
---|---|---|
物価高騰対策・回復再生応援枠 (業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む事業者向け) |
1,000万円、1,500万円、2,000万円、3,000万円(※2) | 中小2/3(一部3/4) 中堅1/2(一部2/3) |
成長枠 (成長分野への大胆な事業再構築に取り組む事業者向け) |
2,000万円、4,000万円、5,000万円、7,000万円(※2) | 中小1/2 中堅1/3 |
グリーン成長枠 (研究開発・技術開発又は人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題の解決に資する取組を行う事業者向け) |
<エントリー> 中小:4,000万円、6,000万円、8,000万円(※2)中堅1億円 |
中小1/2 中堅1/3 |
<スタンダード> 中小:1億円、中堅:1.5億円 |
||
産業構造転換枠 (国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の事業者向け) |
2,000万円、4,000万円、5,000万円、7,000万円(※2) 廃業を伴う場合2,000万円上乗せ |
中小2/3 中堅1/2 |
サプライチェーン強靱化枠 (海外で製造する部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化及び地域産業の活性化に資する取組を行う事業者向け) |
最大5億円 | 中小1/2 中堅1/3 |
最低賃金枠 (最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい事業者向け) |
500万円、1,000万円、1,500万円(※2) | 中小3/4 中堅2/3 |
(※1)補助下限額は100万円、(※2)従業員規模により異なる
- ・「成長枠」と「グリーン成長枠」については、大胆な賃上げや中小企業等からの卒業に取り組む場合、さらなる支援措置(補助率・補助上限の引き上げ)があります。
- ・「成長枠」の要件である「市場規模が10%以上拡大する業種・業態」については、公募開始時に事務局サイトで公表する予定です。また、指定された業種・業態以外であっても、応募時に要件を満たす業種・業態である旨データを提出し、認められた場合には、対象と成り得ます。
- ・「産業構造転換枠」の要件である「市場規模が10%以上減少する業種・業態」についても、公募開始時に事務局サイトで公表する予定です。また、コロナ後~今後の10年間で市場規模が10%以上縮小することについて、応募時に客観的な統計等で示していただき、事務局の審査で認められた場合にも対象となります。
第10回公募以降の事業再構築補助金では、それぞれの枠の対象となる事業者が明確になり、事業の目的にあわせた支援が受けられるようになりました。一方で、枠によって申請要件・補助上限額等が大きく異なってきます。詳細は、公募開始時に事務局サイトで公募要領等をご確認ください。
「事業計画書」の作成にあたって
事業再構築補助金では、「事業計画を認定経営革新等支援機関や金融機関と策定し、一体となって事業再構築に取り組む」ことが必須要件になっています。ただし、計画の策定・実施・計画目標の達成に責任をもつのは、あくまで申請者である事業者自身であり、事業者が主体的に計画を策定していかなくてはなりません。
では、どのようにして事業計画書を作成すれば良いのでしょうか。
事務局サイトには「事業再構築~虎の巻~」というページがあり、事業再構築の検討ポイントをまとめた「約5分の動画」、事業計画書の作成時に検討すべきポイントをまとめた「事業再構築に向けた事業計画書作成ガイドブック」があります。
また事務局サイト「事業者の採択事例」のページには、いままでに採択された事業計画書の事例が紹介されています。
これらの資料を参考にしながら、ポストコロナ・ウィズコロナ時代の環境変化を受けて、「自社の強みを活かして、どのような新しい価値を生みだせるか」という視点から、事業再構築に向けた事業計画書を作成してください。
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